日本人旅行者をフィンランド人ともっと密接につないでゆく

能登 重好 氏 プロフィール

1959年 生まれ
1984年 大学卒業後、某旅行代理店に入社
1993年 フィンランド政府観光にマーケティングマネージャーとして入局
1996年 フィンランド政府観光局日本局長に就任
2008年 組織の変更によりフィンランド大使館商務部へ移動
2010年 フォーサイトマーケティングを立ち上げフィンランド政府観光局日本代表を継続

記念すべき第1回目は、フィンランド・プロモーションに日々奔走されているフィンランド政府観光局 能登重好さんにお話を伺いました。

北欧に接点を持ったきっかけ

旅行代理店の社員として北欧に行かれるお客様をお世話したことはありますが、フィンランド政府観光局に入るまでは、特にフィンランドや北欧に関係があったわけではありません。 ただ国のプロモーションの仕事に興味があり、たまたま人材を募集していたフィンランド政府観光局にご縁があったのです。

ですから、最初は右も左もわからず一からの勉強でした。 働き始めて3日目で早くも40人近くの旅行代理店のお客様を連れて、フィンランドに初めて訪れたことをよく覚えています。 それからは、大阪出張のように年に7-8回フィンランドに行くようになりました。

現在の仕事や接点についての紹介

フィンランドを旅行の目的地として、日本でプロモーションするのが仕事ですので、広範囲の方々と協力してお仕事をしています。
旅行業界はもちろんですが、雑誌・新聞・ラジオ・テレビなどのメディア関連のお客様にフィンランドを紹介して記事や番組にしてもらうのも大切なお仕事です。

また、フィンランドの様々な文化を紹介する機会もあるので、食品、輸入物品、デザイン、ファッション、映画、音楽業界の皆様ともお話しする機会があります。 先日も、Hiramekiという大きなデザインイベントがあり、フィンランド政府観光局でもデザイナーを招いてのセミナーを実施したりしました。 

一言で言えば、フィンランドに関連することなら何でもプロモーションの対象になりますので、その業界とのお付き合いが生まれます。 また、フィンランド大使館、フィンランド航空、フィンランド商工会議所などは一緒にフィンランドをプロモーションしてゆく仲間ですね。

キーパーソンから見た今の北欧

フィンランドは、もともと「森と湖の国」くらいしかイメージがなかったのですが、オーロラの国、ITの国、教育の国など多彩な顔を持つ国になりました。  ここ数年、北欧デザインの人気の高まりでフィンランドのMarimekko(マリメッコ)や、Iittala(イッタラ)も日本に紹介されるようになり、ますます面白いトラベル・デスティネーションになりつつあります。 フィンランドは、ヨーロッパでも珍しく歴史的な観光地ではなく、"今のフィンランド"が楽しい国です。

例えば、ヘルシンキは小さな首都ですし、イタリアのローマように世界遺産が市内に何か所もあるわけではありません。 でも、滞在すると、「気持ち良い度」と「私の街」感が高いのに気が付きます。 まず安全なので、海外旅行につきものの緊張感は無用です。 人間サイズの街なので、徒歩と路面電車で大抵の観光スポットには行くことができます。 フィンランド人もとても親切でフレンドリー。 2〜3日いるとすっかり「私の街」になった感触です。 ヘルシンキでのベスト楽しみ方は「暮らすように旅する」ことでしょう。 自分の足でお気に入りのカフェやショップを見つけ、蚤の市などに足を運び、時間があれば湖畔のサウナや地方の小さな街まで足を延ばす、エストニアのタリンも日帰り圏内です。

ホテルもバラエティに富んできました。 近頃は、小規模のデザインホテルまでではないけれど雰囲気の良いホテルが人気ですが、一週間を超す滞在ならアパートメントホテルも豊富です。 フィンランド航空も週に20便(!!)も日本からヘルシンキに飛んでおり、期間や行程も自由自在です。

加えて、北欧全体を見るとストックホルム、コペンハーゲン、オスロも魅力的な街ですし、フィヨルドも是非一度は見る価値があると思います。 フィンランドの南には、バルト3国、東には、サンクトペテルブルグもあります、何度訪れても足りないくらいです。

キーパーソンから見たこれからの北欧

北欧デザインは一過性のブームではなく、日本に着実に根付きつつあるようです。
将来はデザインだけでなく、北欧に関する理解はもっともっと深まっていくと思います。 その中で、日本人旅行者をフィンランド人ともっと密接に繋いでゆく"Connecting People"がキーワードになりそうです。

"Connecting People"は、もともとフィンランドの携帯電話メーカーNokia(ノキア)が使ったメッセージなのですが、旅行のプロモーションにも最適のキャッチフレーズです。 ファームステイ(農家などへの滞在)をして現地の人とコミュニケーションするような小さなことから、日本の若者とフィンランドの若者をつなぐイベントのようなものもいつか実現してみたいと思います。

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