【FINLAND】 フィンランドで妊娠出産 #4

 プロフィール

名前: 浦田愛香

AIKA FELT WORKS デザイナー
大阪で家具デザインのアシスタントを経て、2001年にフィンランドへ移住。 2005年にラップランド大学工業デザイン科を卒業と同時に、AIKA FELT WORKSをフィンランドの北極圏に近いロヴァニエミに設立。 ウールフェルトを素材にスリッパやバッグなどのインテリア雑貨を手作りで制作・販売している。 商品はウェブショップから直接購入することも可能。www.aikafeltworks.com
2011年2月に出産予定のため現在は産休中。 隙をみてブログ更新に精を出す日々。

フィンランドに移住して10年、齢37にして初の妊娠出産をフィンランドで経験します。 出産予定は2月中旬。 妊娠35週に入り、現在はフェルト制作の仕事は産休をとらせてもらっています。 フィンランドは福祉国家としても知られていますね。 フィンランドでの妊娠、出産事情について、4ヶ月に渡って書いて行こうと思います。 よろしくお願いします。

フィンランドで妊娠出産 #4 育児の始まり始まり~ 

 


 

フィンランドでの出産を経験し、同時に育児生活がスタートしました。写真は生後4日の息子、お祝いにもらった手編みの

カーディガンとズボンをはいて帰宅したところです。

 

妊娠中、自分の意思とは関係なく身体はどんどん変化していったように、産後、母乳がでるのかどうかも、事態を傍観して

いるような気持ちで半信半疑でした。そしていざ!
母乳はでない‥。


助産師さんによると、産後すぐに母乳がでるのは10人に1人なのだそう。最初母乳はでなくても、おっぱいを吸わせることで

母親の身体の準備が整って、じきにでてくるようになるとの話。病院では新生児ママの母乳がでない場合、ミルクをくれるの

ですが、これが他のお母さんから提供された母乳なのです。母乳が有り余るほどでる場合は、病院が買い取ってくれるシステム

なのですね。献血ならぬ献乳、いや、売乳?(笑)。日本でもこんなシステムがありますか?このお乳のおかげでうちの息子も

おなかをすかせずにすみました。

 

退院して母乳はでるようになったものの、息子の食欲を満たすには程遠く、ミルクが必要になりました。夫に粉ミルクを買って

くるようお願いしたのに、買ってきたのはパック入りの液体ミルク。どうやらフィンランドでは粉ミルクは使わず、このパック入りの

ミルクを哺乳瓶に入れて、湯せんで温めて赤ちゃんに与えるようなのです。パック入りミルクは母乳と合わせて病院でも使われ

ているそうな。以来うちではこのミルクを常備。息子はたっぷり飲んでおなかいっぱいになるとよく寝てくれるので、いつも母乳と

ミルクの両方を与えています。1パック200mlで50セントなり。

 

退院してすぐのNeuvolaの検診は、担当してくださっている助産師Kaisaさんが自宅に訪問してくれました。出産時は

病院の助産師さんが担当してくれるので、NeuvolaにいるKaisaさんが息子を見るのはこれが初めてでした。妊娠が

わかって以来ずっとずっと診てくれていたKaisaさんに、生まれた息子を見てもらえるのが嬉しくて、まるで生徒が先生に

成果を見てもらうような気持ちで、彼女の訪問を楽しみに待ちました。ライ麦のパンにコールドスモークサーモンをのせて、

その上にゆで卵とマヨネーズ、仕上げにディルを散らしたスナックを(夫が 笑)用意して‥。

 

自宅での検診では、体重を計る時に予想通りおしっこを飛ばすうちの息子(笑)。うつぶせにさせたり、モロー反射や握力を

確かめたりしている合間に、Kaisaさんは赤ちゃんの扱い方のコツを教えてくれます。写真は生後12日の息子。まだ手足に

脂肪がついていなくてカエルみたいですね。

 


このころ私は赤ちゃんに向き合うことに必死でした。夜昼となく、母乳をあげてはオムツを替えたりで赤ちゃんにべったり、

外出できるのはほんの隙間の時間だけ。夫に促され近所のお店に歩いて行った時は、いつもの風景が、タイムマシンから

降りてきて見たみたいに違和感がありました。出産時のことや、電話から聞こえた母の声なんかがいっぺんに思い出され、

このときになってやっと涙がダーダーと流れました。出産と同時に始まる育児ですが、母親の身体はまだ傷が癒えず出血も

続いているのです。気持ちも劇的な変化について行けずボロボロだったのかもしれません。そんな状況を熟知している

助産師さんたちは、検診時に母親の問診に時間をかけます。今どんな風に感じるか、気持ちに変化はあるか。育児ノイローゼに

ならないようにサポートしようとする姿勢が伺えました。

 

助産師さんが家を訪問してくれるのは良いシステムですね。家によって赤ちゃんを取り巻くコンディションがいろいろ違うので、

気がついたところを指摘してくれたりします。また、アルコール中毒はフィンランドでは大きな社会問題ですが、助産師が家を

訪問することによって、実際にその家庭が、赤ちゃんにとって安全に育ててもらえる環境にあるかどうかの、チェック機能も

果たしているのではないでしょうか。

 


これは息子の一ヶ月検診。チャイルドシートに乗せて退院後車で初めての外出。生まれてからの子供の検診は、また違う人が

担当してくれます。Kaisaさんじゃなくなって寂しい‥。

 

妊娠中は妊婦さんのための『ニンプレストラン』があって、日替わりで吐き気を抑える食事とか、栄養バランスのとれた美味しい

料理を食べさせてくれないかしら、と妄想していましたが、出産後は新生児ママのための『リラックスの館』があればいいのに、

と続けて妄想しています。とにかく肩がこるったらないのです。母乳をあげる間、ちゃんと飲んでるかしら、と赤ちゃんの顔を

覗き込み、30分も40分も同じ姿勢を保って、それを一日5回も6回もやっている。生まれたばかりの時から赤ちゃんの体重は

どんどん増えて、どっしりとした身体を支えるのに腕や手首はひいひいいっています。母親業に休みはないので、せめて小1時間

くらい、ボケーッとマッサージしてもらったり湯に使ったりして、現実逃避したいものです。あ、高齢のせいでこんな年寄りくさい

妄想を?!若い新生児ママさん、いかがでしょうか。


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